今月の講話(毎月1日 月次祭後の宮司講話です)

令和四年 龍田大社 風鎮大祭宮司挨拶

先ず以て 聖寿の万歳を 寿ぎ奉り 皇室の弥栄と 国家の隆昌 そして
地球の安泰と惟神大宇宙の平和を お祈り申し上げます。
本日ここに 龍田大社 第二一一二回風鎮大祭にあたり ご来賓各位をお迎えし 地元氏子の皆様方  全国崇敬者の皆様方 多数の皆様方ご参列の元 厳粛且つ盛大裡のうちに 祭典を斎行出来得ました事は 大神様のご加護は元より 皆様方の篤き敬神の念によるものと深く感謝申し上げます。
 既にご承知のこととは存じますが 本日の風鎮大祭は 年間一二〇回斎行致しますお祭りの中でも 当社のご創建に関わる一大重儀とされており 朝夕の二度 七日間 つまり十四回のお祭りを斎行しなければ 本日を迎えることができません。二千百十二年前当時 国内には疫病 凶作が続き 国内が騒然とした 有様は コロナウイルスがまんえんしている現況と酷似しておりました。そこで 卜占により 風の神さまを この場所にお迎えし 国を挙げて丁重に祈りを捧げましたところ 無事平穏に戻ったという ご縁起がございます。現代に比べ 医学の乏しい当時でも 二年足らずで疫病が収束したのは 当時の先人たち お一人お一人が深い祈りを捧げられたからであります。
先刻の祝詞でも奏上申し上げました通り 森羅万象は全て共生しており 先人はその中に神々を感じ得 生活の営みの中から生まれてきたものが我が国の神道であります。神道は 昔から伝わる あらゆるものを受け入れるという やまと心を大切に抱きながら 日本人が歩むべき道を示すものであり その根幹は森羅万象との共生であり あらゆるものと共生するための 深い祈りが 二一一二年前に 捧げられたと感じます。
令和二年六月 龍田古道・亀の瀬が 日本遺産に認定され 龍田大社は その構成文化財となりました。
本日の二一一二回目の風鎮大祭も 構成文化財の一つに数えられております。この様に 長い歴史の中で 今日まで継承されてきました祭祀にはそれぞれ深い意義があり 太古から伝わってきたものをそのまま連綿と受け継ぎ 更に次代へと受け渡していくことが 当社にとって重要な責務の一つと考えております。
そして その象徴とも申すべき ご本殿の未来永劫護持こそが 最重要事項の一つであります。
前回は平成六年にご本殿御屋根檜皮総葺き替え工事を行い 檜皮葺きの耐久年数は約三十年といわれることから この度 令和十年天皇陛下御在位十年の佳節に向け 奉祝記念事業と致しまして御屋根の葺替えを致すべく覆い屋根を施し 準備を執り進めて参りました処 御本殿内に雨漏り箇所が見受けられ かなりの資金不足の中ではございますが 急きょ当初の予定変更を余儀なくされ 即刻工事を着手致す事と相成りました。幸いにも 日本遺産の構成文化財という事から関係各方面の方々の温かいご理解 お力添えを頂き  本ご造営事業が文化庁の補助対象事業に採択され、補助金も交付されることになりましたが 総事業費は到底補助金だけでは賄えない状態であります。
そもそも当社の各御社殿の御屋根は 全て檜皮葺きでございましたが 現在では御本殿以外は経費的事情により 止む無く銅板葺きで 御本殿だけは古来の伝統技法である檜皮葺きを維持しております。
此の度の御屋根葺替えもこれまで同様に 檜皮を用いて執り行う計画にしておりますが 三十年という檜皮の耐久年数と 今後の御社殿の安定護持を鑑み この度 新たに三十年に一度の式年造営制度を斎定致し 今回 龍田大社 第一回大造営事業として 執り進めさせて頂く事となりました。
皆様方には何卒 温かいご理解により 先祖が守り抜いたものを子孫に伝え 子孫の未来永劫安泰を 深く祈るべく また二千百一二年の永い歴史の中で 初めて行います 第一回式年大造営事業に 篤き想いを以て何卒本趣旨にご賛同を賜り 龍田の大神さまとのご神縁をより強くより固くお結び頂きますよう 伏して懇願申し上げますとともに 本日 斯様な時期且つ天候の中にも拘わりませず 長時間のご参列を賜りました皆様方に 心から感謝申し上げまして 二千百十二回目の風鎮大祭の御礼のご挨拶と致します

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