今月の講話(毎月1日 月次祭後の宮司講話です)

令和2年12月の講和『かたじけなさに』

 コロナと言われて 早10ヶ月。 先ずもって 命がけで第一線にてお勤めなされている 医療従事の皆様方 日々激変する世情の対応のため 施策に取り組まれている 行政担当の皆様方に対し 心から敬意と感謝を申し上げます。
 今年の言霊は 風和であります。風は気の流れであり 陽にも陰にも転じます。さすれば 陽の気の漂う日々を お過ごし下さいと 申し上げて参りました。
 コロナのせいでと申しますと 陰の気に包まれます。コロナのお陰でと申しますと 陽の気に包まれます。果たして 皆様方は どの様な1年を お過ごしになられましたでしょうか。
 鎌倉時代の歌人 西行法師が 伊勢の神宮に詣でた時に
『何ごとの おわしますかは 知らねども
         かたじけなさに 涙こぼるる』
という お歌を 詠まれました。
 この歌を 私どもの日々の生活に あてはめますと 例えば 寒い朝 温かい湯呑一杯のお茶は 格別な味わいがございます。そして この一杯のお茶には 目に見えない 多くの人々の心と力が 込められて居ります。なぜなら先ず 丹精込めてお茶を育て製造する方。 更に これを輸送する方。そして販売する方。それだけでは ありません。湯呑を創る方。水をガスを電気を 安定供給する方。数え上げれば 目には見えない相当な人々の手によって 湯呑一杯のお茶を 呑めるわけであり この人々に対しても やはり 「かたじけなさに 涙こぼるる」という 想いが大切でないかと存じます。
 コロナも 見えないご存在であります。見えない存在に意識することは 感性を研ぎ澄ます事につながります。そして研ぎ澄まされた感性の中で コロナのせいでと言うのか コロナのお陰でと言うのか 言霊ひとつで ご自身がお出しになる 波動が変わります。
 皆様方には 年内ひと月 目に見えない 全ての存在に対し 『かたじけなさに』という想いを忘れず 龍田の大神さまのご加護の元 お元気にお過ごし頂きますよう そして 来年こそは 心がより一層 豊かな1年であります様お祈り申し上げます。

過去の講話一覧